2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

稲垣栄洋『植物の不思議な生き方』

稲垣栄洋『植物の不思議な生き方』 身近にいながら謎の多い植物の生き方を述べた本である。生き方というように、稲垣氏の本は植物を擬人化して描いている。植物を主人公にして描くのだからやむを得ない。だが分かりやすい。田中修著『植物はすごい』は、植物…

田中修『植物はすごい』

田中修『植物はすごい』 21世紀は「植物との共存・共生の時代」といわれる。田中氏の本は、植物のかしこさ、生きるための巧みさや、逆境に耐えるための努力などの「すごさ」を、植物学の方法で描いた植物賛歌と読める。水と二酸化炭素を原料にして、太陽の…

羽生善治『直感力』

羽生善治『直感力』 将棋の羽生永世名人が書いた将棋論だが、人生の日常生活を生きていく上でのものの見方として、おおくのヒントがある。将棋では「読み」と「大局観」と「直感」の使いこなしが大事だが、この本では直感が語られている。羽生氏によれば、直…

中沢新一『大阪ア-スダイバー』

中沢新一『大阪アースダイバー』 大阪という真性の都市の歴史・地誌の深層の精神分析だといっていい。考古学的古代から近代までの大阪の地層にまで潜り込み、大阪という都市を浮き彫りにしようとしている。中沢氏は、大阪には人間の「野生の文化」が都市の構…

有吉佐和子『日本の島々、昔と今。』

有吉佐和子『日本の島々、昔と今。』 1980年に書かれた本だが、『複合汚染』が環境破壊を告知していたように、この本は、竹島や北方領土、尖閣諸島の国境問題をいち早く予言していた。有吉氏は北は天売、焼尻島から、南は波照間、与那国島、種子島、屋久…

永田浩三・水島宏明ら『テレビはなぜおかしくなったのか』

永田浩三・水島宏明ら『テレビはなぜおかしくなったのか』 元NHKプロデューサーらテレビ現場に詳しいジャーナリストらが、社会に大事な情報が本当に伝えられているのかを考えた本である。金平茂紀氏は、2012年に首相官邸前での反原発デモの報道姿勢に、…

ブレイスウェイト『魚は痛みを感じるのか?』

ブレィスウェイト『魚は痛みを感じるのか?』 魚は鳥類や哺乳類のように痛みを感じるのかという研究が遅れていたが、女性魚類生物学者ブレィスウェイトは様々な実験や研究資料を使って痛みがあると実証している。この本は痛みとは何かや、生物の苦痛はどう生…

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』 伊東氏は、作曲家であり演奏家である。同時に東大理学部で物理学を専攻し大学院で博士論文まで書いている。この本の特徴は、音楽を西欧音楽理論や、音楽史だけでとらえるのでなく、物理学や生物学、脳認知科学の基礎研究…

『明石海人歌集』

村井紀編『明石海人歌集』「人の世の涯とおもふ昼ふかき癩者の島にもの音絶えぬ」 ハンセン病で37歳の生涯を隔離された岡山の療養所で終えた明石海人の歌は、正岡子規とともに「病者の光学」に満ちた和歌の傑作が多くある。 「いつかもう人間ならぬ我にな…

井手英策『日本財政 転換の指針』

井手英策『日本財政 転換の指針』 安倍政権によって公共事業費が増え、国債発行額は170兆円を超え、逆に生活保護費は押さえ込まれる。財政再建とはどうすることかを井手氏の本は考えている。井手氏は財政の原因は税収の決定的不足であり、人間の尊厳に対…