2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ガワンデ『死すべき定め』

アトゥール・ガワンデ『死すべき定め』 私はいま終末期ガン患者で、医薬用麻薬で緩和ケアをおこなっている。だから米国の外科医ガワンデ氏の終末期ガン患者の最後を、いかに「豊かな死」を迎えるかを描く迫真迫る文章であっても、あまり読みたくなかった。読…

岩元厳『現代アメリカ文学講義』

岩元巌『現代アメリカ文学講義』 80歳を過ぎ、50年以上アメリカの文学を研究し、翻訳してきた岩元氏の本を読むと、本当に米文学が好きだと思う。 岩元氏は若きアメリカ留学時代にマラマッドやアップダイクにめぐり合い、ジョン・バースに行き着く。20…

高良勉編『山之口獏詩集』

高良勉編『山之口獏詩集』 山之口は沖縄の詩人だが、妻は茨城、娘は東京の「多国籍詩人」だ。復帰以前の詩「つかっている言葉 それは日本語で つかっている金 それはドルなのだ 日本みたいで そうでもないみたいな あめりかみたいで そうでもないみたいな つ…

松沢裕作『自由民権運動』

松沢裕作『自由民権運動』 自由民権運動は明治7年「民選議院設立建白書」を板垣退助ら8人が政府に提出して始まり、明治17年の秩父事件で終わる。 松沢氏の本が面白いのは、戦争後に民主主義運動が起こるというテーゼにある。自由民権運動を「戊辰戦後デ…