2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

渡辺京二『逝きし世の面影』

渡辺京二『日本近世の起源』 『逝きし世の面影』 渡辺史学といわれるほど史観がはっきりしている。近世をアーリイ・モダン(早期近代)として考え、徳川・江戸文明を評価して、逝きし幸福で平和な調和的・共同体社会と見て明治維新以後の近代化社会を相対化…

鷲谷いずみ『生物多様性入門』井上ひさしの『戯曲』を読む

鷲谷いずみ『<生物多様性>入門』 入門書となっているが、生物学、生態学、社会学に渡って生物多様性を考えている深い本だ。地球温暖化と生物多様性の問題は、人間と自然の未来へのかかわりで重要な問題である。この本は生物多様性とは何かという生態学の分…

古田亮『俵屋宗達』長岡龍作『日本の仏像』長部日出雄『阿修羅像の真実』

古田亮『俵屋宗達』 面白い。「宗達は琳派ではない」というセンセイショナルな帯が付いている。だが読むと宗達を近代美術や世界的視点から見直す分析が冴えている。宗達のブームが大正期に起こり、今村紫紅、速水御舟、小林古径、前田青邨さらに「今様宗達」…