2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ブランキ『天体の永遠』

オーギュスト・ブランキ『天体による永遠』 19世紀フランスの革命家で7月革命、二月革命の闘士であり、パリコミューン蜂起の前日に逮捕されトーロー要塞に幽閉された時書いた宇宙論的思想である。ブランキはマルクスも認める革命家でモンサン・ミシエル要…

佐藤忠男『大島渚の世界』

佐藤忠男『大島渚の世界』 戦後映画の代表的監督の一人大島渚氏が亡くなった。私はその衝撃的映画を数多く見ている。特に好きなのは「白昼の通り魔」「戦場のメリー・クリスマス」である。出演した佐藤慶やビートたけし、デヴィット・ボーイ、坂本龍一のクロ…

依岡隆児『ギュンター・グラス』

依岡隆児『ギュンター・グラス 渦中の文学者』 現代ドイツ文学者でノーベル文学賞を1999年に受賞したギュンター・グラスの評伝である。『ブリキの太鼓』(集英社文庫・高木研一訳)を読み、映画「ブリキの太鼓」も見たことがある。ドイツ教養小説に否を…

木村忠正『デジタルネイティブの時代』

木村忠正『デジタルネイティブの時代』 この本の特徴は二つある。一つはデジタルネイティブを1982年生まれの第1世代から1991年生まれ以降の第4世代の4世代に分け、情報爆発を世代論で見ようとしている。二つはそれに木村氏が日本の情報文化風土と…

加藤徹『西太后』

加藤徹『西太后』 19世紀末激動の中国・清朝の皇后西太后は、女傑として、わが子の同治帝、甥の光緒帝の「帝母」として47年間も権力を振るった。女性権力者として悪名が現代中国でも強いが、加藤氏は風聞による俗史に惑わされず、実証的に西太后の姿に迫…

野内良三『無常と偶然』

野内良三『無常と偶然』 面白い。「日欧比較文化叙説」と副題がついている。だがほとんど日本とフランスの詩・文学の比較を、「偶然」と「無常」という座標軸で比較したものである。野内氏は西洋思想では、因果連関の必然性を追及した。だから複雑系の縁起的…

檀上寛『永楽帝』

檀上寛『永楽帝』 15世紀中国・明朝三代皇帝永楽帝を描き、朝貢国60国を数える中華世界システムを作った「華夷秩序」の完成者に視点を置いている本だ。明治の小説家・幸田露伴が書いた『運命』(講談社文芸文庫)という小説を読み、叔父永楽帝が若い甥の…

篠原資明『空海と日本思想』

篠原資明『空海と日本思想』 空海を描いた司馬遼太郎『空海の風景』を読んだ時、空海は日本知識人の典型だと思った。先進文明国に留学し思想・技術を学び咀嚼し日本化した百科全書的知識人であり、詩人で書家という文人であり、仏教という先進思想を政治にま…