「ロボット・AI革命」(「週刊ダイヤモンド」)

「ロボット・AI革命」(『週刊ダイヤモンド6月14日号』)
   ソフトバンクが人の感情を認識するロボット「ペッパー」を開発し、言葉の簡単なやりとりも出来ると6月5日発表があった。高額なAI(人工知能)はインターネット上に置いて、データをやり取りするという。「週刊ダイヤモンド」は特集を組み「新たな産業革命」が世界中で動き出したといい、人間との「競争か共生か」という興味深い記事を書いている。「朝日新聞」(2014年6月7日朝刊「ザ・テクノロジー」)も、90年代前半に冬の時代といわれたAIが、認識能力がネットと連動し飛躍的にたかまったと報道している。
   この「ダイヤモンド」の特集によれば、米シリコンバレーのIT企業が、ロボットとAI企業を買いあさっているという。グーグルは東大起業の二足歩行ヒト型ロボット起業「シャフト」を買収したのをはじめ、米国、英国など8社を買収し、ロボットカーや軍事・災害用四足歩行ロボットを開発している。特集のシリコンバレーからのルポを読むと、機械などのハードウェアにシフトし、ヒト型などのかたちに拘らず、ロボット技術だけを抽出し商品化しようとしている。手術ロボット「ダ・ヴィンチ」が開発されている。
   日本でも産業用ロボットから、医療、介護など生活支援ロボットを重視視しようとしている。ソフトバンクのロボットもその一つだろう。2014年には生活支援ロボットの「国際安全規格」が制定され、経産省の試算では2025年までに2兆6000億円の市場になるという。セコムの警備ロボットも軌道を走りだした。問題は「週刊ダイヤモンド」ではあまり触れていないが、無人機や軍事ロボットの開発であり、SF作家アシモフロボット三原則の、「人に危害を与えない」が反古にされる危惧があることだ。人間と共生ができるのか。
   AIは、2度の冬の時代を経ていま第三次ブームとう。チェス、将棋、クイズで人間を負かしつつある。「週刊ダイヤモンド」によると、東大合格を目指すAIは、すでにセンター試験で偏差値45まで来ており、東大合格は時間の問題と書いている。だが、常識的問題や問題文や選択肢を正確に理解し、知識データベースと照らし合わせて判断することが、まだ難しいそうだ。文章の要約や大意を掴むのもまだまだだ。
   福島原発事故で、日本のロボットは瓦礫の中に入り込むことが出来ず、米国防総省の依頼で地雷探査ロボットを開発した会社によるAI搭載の軍事用多目的ロボットを最初は使ったことも皮肉である。いま人類初のロボット宇宙飛行士が、国際宇宙ステーションに滞在している。宇宙開発にもロボットが活用される時代が来つつある。(ダイヤモンド社